欧州連合(EU)は10日、米国の鉄鋼・アルミニウムへの関税に対する報復関税の発動を一時保留にすると発表した。EUは9日に報復関税案を承認したばかりだったが、トランプ米大統領が「相互関税」について税率の一部の適用を90日間停止すると表明したことを受け、いったん先送りし、米国側との交渉を続ける意向だ。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は10日、「相互関税の一時停止を歓迎する」との声明を発表。その後、「交渉の機会に充てたい」との声明を新たに出し、鉄鋼・アルミ関税への報復関税の発動を90日間保留にするとした。
90日間を交渉に充てるが、フォンデアライエン氏は「満足いく交渉にならなければ、対抗措置が発動される」とも述べ、米国側を牽制(けんせい)する姿勢を示した。
EUは3月12日に発動された鉄鋼・アルミ関税に対する報復措置として、9日に大豆やオートバイ、鶏肉など約220億ユーロ(約3・5兆円)相当の米国産品への報復関税を、3段階に分けて発動する案を承認。第1弾は15日に設定されていた。